小雨の降る土曜日。傘と紙袋を抱えて、東京をあちこち歩いた。目的は、Tシャツと、予約していたケーキ、そしてあんぱん。一見なんでもない用事の積み重ねが、結果的に少し特別な一日になった。
Dover Street Market Ginzaで、抽選に当たった一枚を
朝は銀座のDover Street Marketへ。「Geeks rule × ダンダダン」のコラボTシャツを受け取りに行く。
このTシャツは人気が高く、店頭販売はなく、事前抽選に当たった人だけが購入できる。私はメールで指定された時間──12時の10分前──にお店へ。
到着後、スタッフに声をかけ、スマホ上で電話番号を見せ、身分証を提示。ようやく待機列に並び、順番が来ると販売フロアへ案内された。ひとつのTシャツを手に入れるために、こんなに段階を踏むなんて。でも、待ち時間すら“体験”のように感じられた。
店内は国籍も年齢もさまざまな人であふれていた。英語、フランス語、中国語、韓国語──まるで人種の坩堝。けれど、みんなの視線の先には同じ「服」がある。ファッションって、ひとつの言語なんだなと思った。
ニューオータニで、メロンショートケーキを探して
次の目的地は麹町のホテルニューオータニ。SATSUKIのメロンショートケーキを事前に予約していた。
だが、ホテルの構造はまるで迷路のよう。Googleマップを見てもなかなか目的地に辿り着けない。「1F」と案内されているのに、実際はどうやら2階にあるらしい。(ホテルって、フロントの階を“1階”にするのだろうか?)
ようやく到着して、予約したケーキを受け取る。持ち帰って、家でゆっくりいただいた。見た目は豪華なのに、香りは驚くほど控えめ。口に入れると、ふわっと生クリームの優しい甘さが広がり、静かなメロンの風味が後から追いかけてくる。華やかさよりも、落ち着いた贅沢──そんな味だった。
坂の街、四ツ谷の静けさ
ニューオータニを出て、四ツ谷駅まで歩く。
このあたりは坂が多く、傘と荷物を持っての移動はなかなか大変。雨はしとしとと降り続き、手がふさがっているのにスマホの地図も見たい──そんな不器用な時間が、なぜか嫌いではなかった。
土曜日の四ツ谷は静かで、上智大学のキャンパスも人影がまばら。都心の真ん中にあるのに、時間がゆっくり流れている気がした。
新宿伊勢丹で、最後の寄り道
中央線で新宿へ。
エクセルシオールでコーヒーを飲みながら、少し休憩。冷えた手にカップの温かさが沁みる。
そのあと伊勢丹で、これまた予約していたあんぱんを受け取る。ついでに新館のコムデギャルソンで香水を試した。わずかに残る香りが、今日という一日を静かに締めくくる。帰りの電車は異様に混んでいて、ようやく座れたとき、Tシャツとケーキとあんぱん──この三つの袋を見て、「今日、ちゃんと生きたな」と思った。
あとがき:東京の“ちょうどいい一日”
東京を歩くと、いつも「予定通りにはいかない」。地図を見ても迷うし、坂は想像より急だし、荷物は増える。でも、その“ちょっとした面倒くささ”が、今日を特別にしてくれるのかもしれない。
ファッションも、スイーツも、移動の途中の雨も──どれも、東京という街の一部。そんなことを思いながら、家でメロンショートケーキを食べた。
使用アイテム・訪れた場所
- Tシャツ:Geeks rule × ダンダダン(Dover Street Market Ginza 抽選販売)
- ケーキ:メロンショートケーキ(ホテルニューオータニ SATSUKI)
- パン:あんぱん(新宿伊勢丹 本館地下)
- 香水:Corner Comme des Garçons(新宿伊勢丹 新館)

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