イヤーピースにSymbio Eartipsを使っていたのですが、オレンジ色の部分が硬く感じることがあり、長時間つけることができないでいました。そこで、比較的柔らかくて遮音性の高いフォームタイプで、依然から気になっていたCrystalline AudioのCrystal Tipsを試してみました。
結論から言うと、音、付け心地ともに大満足で、もしかしたらイヤーピース沼から脱出出来たかもしれません。
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購入の動機
フォームタイプで、長く使えそうなものがあればなぁと思っていました。 ポリウレタンなど低反発素材(柔らかい、目の詰まったスポンジのようなもの)で製作されたイヤーピースを、フォームタイプのイヤーピースと呼びます。その特徴は、耳への高いフィット感によって外音を遮断することで、細かな音に気付けたり、音楽にフォーカスできることです。 フォームタイプの代表として、COMPLYが挙げられます。COMPLYの技術的なメリットはこちらにありますので、参考にしていただければと思います。
実際、COMPLYは、耳にフィットすることで遮音性が高く、音楽にフォーカスできることを実感しています。 ただ、COMPLYでネガティブに感じることが2つあります。
- 適度に交換しなければならない
- 低音が強調され、高音が少し篭る
適度に交換しなければならない
高い装着感、遮音性を実現するため、柔らかい素材を使用しており、表面が摩擦で劣化しますので、適度に交換が必要です。(利用状況によりますが、3ヶ月毎の交換が公式の推奨のようです) 今回比較で用意したComfort Ts-400は、3ペアで2,000円程度で販売されていますので、仮に3ヶ月に1回交換したとして、年間3,000円かからない程度のコストがかかります。 対して、今回紹介するCrystal Tipsは、耐熱・耐汗プロテクトフィルムコーティングを施すことで耐久性の向上を謳っていて、期待しています。なお、現時点では利用して3週間のため、耐久性については語れません。数ヶ月おきに更新して報告できればと思います。
低音が強調され、高音が少し篭る
遮音性が高まることから、低音域の音漏れもなくなるため、結果として低音域が強調されたように聴こえます。対して高音域は、素材が吸音するためか、こもったような音に変わります。逆に、CL750のように高音域が強く打ち出される性格のイヤホンに装着すると、音の角がマイルドになり、耳に過度に刺さらない音に変化します。
Crystal Tipsの概要
Crystalline Audio
Crystal Tipsを作っているCrystalline Audioは、2015年にイギリスで設立された会社で、Crystal Tipsのみを生産しています。イギリスでの生産にこだわっているようで、パッケージにも誇らしげにMADE IN BRITAINと記載されています。なお、2020年2月時点で日本での販売代理店は完実電気となっています。ラインナップ
サイズは3種類(S、M、L)、軸の大きさは2種類(S、M)、ダストフィルター(有り、無し)、個数は2種類(1ペア、3ペア)。 私は、軸M、サイズL、ダストフィルターありのものを購入しました。 軸のサイズですが、一般的な大きさの軸であればMで大丈夫だと思います。メーカーの対応表はこちらを参照ください。外観
一番右がCrystal Tipsで、一番左がCOMPLYです。見た目はツルツルしていて、摩擦に強そうです。また、COMPLYと比較して気泡の穴の大きさが小さく、密度が高そうに思います。触った感じは、COMPLYは指で潰すと時間をかけて元の形に戻りますが、Crystal Tipsは弾力があり、指で潰すとすぐに元の形に戻ります。 なお、右から2番目はCampfire Audio Orion CKに付属していたフォームタイプのイヤーピースです。本国のサイトだとマシュマロチップとあり、かわいいですね。触り心地や弾力は、Crystal Tipsととても似ています。
つけてみる
COMPLYは、指で少しつまんで温めながら小さくして耳に入れると、ゆっくりと優しく耳にフィットします。「耳につけている」感覚はあるものの不快な印象はなく、付け心地はとても良いです。Crystal Tipsは、そのまま耳の奥へ突っ込みます。ある程度の弾力が耳に圧力を加えますが、不快なほどではなく、3時間くらいつけていても耳が痛くなるようなことはないです。
音楽を聴いてみる
前提
- FiiO M11 Pro Stainless Steel Edition
- DSD変換モードを有効
- ハイゲイン
- 可聴帯域外フィルタは、Short delay Sharp Roll-Off Filter
- イコライザは、ロック
- Pure Musicモードで再生
- 音源はすべてiTunesでリッピングしたALAC
課題曲
- 星野源 / POP VIRUS
- Official髭男ism / Pretender
- RHYMESTER / スタイル・ウォーズ
星野源 / POP VIRUS
Album Title: POP VIRUSRelease Date: 2018/12/19 Crystal Tipsをつけて試聴してみて驚いたのは、ベースがぼやけることなく、輪郭ははっきり、そして締まって聴こえることでした。また、シンバルやハイハットはこもることなく若干硬めでキラキラ。とは言え、耳に刺さるようなことはありません。中音域のボーカルやギターは高音域と似ていてやや硬い質感です。 対してCOMPLYですが、高音域は遠目で鳴っていて、低音域が支配的です。中音域は、乾いているような印象で、ボーカルが耳に刺さりました。
Official髭男ism / Pretender
Album Title: TravelerRelease Date: 2019/10/9 Crystal Tipsの第一印象は、全音域がバランスがとても良いことです。
個々に言うと、ボーカルは、輪郭のはっきりした、伸びやかな音で、気持ちよく柔らかみも感じられる音です。サビのコーラスもきれいに重なりますが、それぞれの音の分離もされており、ごちゃごちゃせずすっきりと聴くことが出来ます。特筆すべきはピアノで、アウトロのピアノソロはとても透きとおっていて、また、音が健全に太っているというか、ふくよかさと艶を感じることが出来ました。
RHYMESTER / スタイル・ウォーズ
Album Title: ダンサブルRelease Date: 2017/9/6 Crystal Tipsは、全編に渡って、クリアで硬めのシンバルが気持ちいいです。宇多丸の声やトランペットに張りがあり、かつ輪郭がくっきり。とはいえ耳に刺さることはない。ベースは締まって聴こえます。全体として、気持ちの良いバランスで鳴ってくれます。 COMPLYは、シンバルが乾いていて、これはこれで好きです。また、MUMMY-Dのサ行は耳に刺さりました。なお、ベースはぼやけて聴こえ、低音がやや支配的なバランスです。
結論
私にとって、CL750とベストマッチで、もっと早く試せば良かったなぁと思っています。また、Orion CKとの相性も良く、付属のフォームタイプよりもつけ心地、音ともにCrystal Tipsのほうが好みです。- つけ心地はとても快適。痛みも伴わず、しっかり耳に固定できる
- 低音域はやや強調されるものの、ぼやけるような印象はなく、タイトに聴こえる
- 高音域は輪郭がはっきりと感じることができる一方、適度に角が落とされており、耳に刺さることはない
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