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Astell&Kern
Astell&Kern(アステル アンド ケルン)は、韓国のアイリバー社のハイレゾオーディオブランドです。日本における輸入販売代理店は株式会社アユートです。KANN ALPHA
今回紹介するKANN ALPHAは、Astell&Kernのラインナップで、高出力・低ノイズの両立をコンセプトとしているシリーズ「KANN」の第3弾のモデルで、2020年10月16日に発売されました。シリーズ第2弾の「KANN CUBE」は、KANNシリーズの中でも特殊な位置付けのようで、KANN ALPHAが、初代KANNの後継機にあたるそうです。
購入の動機
私の購入の動機ですが、次の条件を満たしている上で、六角形を変形させたマッチョな見た目が格好いいなと思い、無試聴でフジヤエービックで予約、購入しました。- 出力端子が、3.5mmと、2.5mmおよび4.4mmのバランス出力端子を有していること
- ストリーミングサービス(TIDAL)で、楽曲のダウンロード再生が可能なこと
- Bluetooth接続で、LDACに対応していること
主な仕様
詳細は、Astell&Kern KANN ALPHA 公式ページを参照ください。- ディスプレイ
4.1型TFTカラーLCD (静電容量式タッチスクリーン)
HD (720 x 1280 ドット) - バッテリー
内蔵リチウムポリマーバッテリー ( 5.600mA / 3.8V ) - 連続再生
約14.5時間 (FLAC/44.1kHz/16bit) - 充電時間
約3.5時間(9V/1.67A) / 約5時間(5V/2A) - ファイル形式
WAV, FLAC, MP3, WMA, OGG, APE, AAC, ALAC, AIFF, DFF, DSF, MQA - D/Aコンバーター
ESS ES9068AS ×2(Dual DAC) - 入力端子
USB Type-C 端子(充電・データ転送・USB-DAC ) - Bluetooth 対応コーデック
AAC , SBC , aptX™ HD , LDAC - Wi-Fi
IEEE 802.11 b/g/n(2.4GHz)
外観
KANN ALPHAのボディはアルミをCNC切削加工で作られています。ボリュームホイールと、その周りのボリューム感がマッチョな印象を醸し出します。 トップは強度の高いといわれるセラミック製で、左から2.5mm、4.4mm、3.5mmの出力端子です。出力端子は金色で縁取っていて艶のある黒に金が映えて綺麗です。 ただ、落としたら大変なので、予約特典でついてきたケースを使う運用です。このため、ケースでトップが隠れてしまい、トップのツルツル感の見える範囲が狭くなるのが少し残念です。 外観とは少し話が逸れますが、私が特に感心したのは、ボリュームホイールです。見た目も時計の龍頭のように格好いいのですが、回した時に指先に感じる抵抗の大きさが見た目よりも優しくて、気に入っています。
Astell&Kernが製造時に使用する振動のない加工機は、スイスの高級時計メーカーが使用しているものと同じです。これは優れた操作感を実現するために、高級時計の龍頭のように正確に処理されたボリュームホイールの製造に反映されています。独立した機械加工が個々の領域に適用され、各スモールパターンを作成します。Astell&Kernの長年に渡る専門知識と細部への特別な拘りが最終的に製品に対し示されています。https://www.iriver.jp/products/product_209.php
持ってみて、心地よい
KANN ALPHAの見た目の第一印象は、分厚いから持ちづらいのかなと思っていました。しかし、実際に手に取ってみると、斜めの面がちょうど手に馴染むので、持ちやすいです。持つ、というよりも握る感じに近いと思います。 参考までに、FiiO M11 Pro SSを持ってみると、本体を掌に乗せて指で支える感覚です。底面が台形状ではないうえ、横幅があるため、持ち方によっては、掌と本体の間に空間ができて安定しないということがあるかもしれません。 M11 Pro SS が320g、KANN ALPHAが316gとほぼ同じ重さなのですが、KANN ALPHAの方が軽く感じるのは、この感覚(握る、掌に乗せる)のせいかもしれません。このような書き方をすると、M11 Proが持ちづらいと読めてしまうかもしれませんが、そうではありません。私にとってはKANN ALPHAがとても持ちやすい、ということをお伝えしたいです。(もちろん、手のサイズは人それぞれですので、気になる方は実際にお手に取って感覚を試した方が良いと思います。) FiiO M11 Pro Stainless Steel
320g
130×70.5×16.5 mm(縦×横×厚さ)
Astell & Kern KANN ALPHA
316g
117×68×25 mm(縦×横×厚さ)
一緒に入っていたもの一式
- KANN ALPHA本体(microSDカードカバーがセットされている)
- 保護フィルム(前面、背面それぞれ2枚)
- USB Type-C to Aケーブル1本
- microSDカードカバー1枚
- クイックスタートガイドなどの冊子
使い勝手
初めてKANN ALPHAに触れたとき、スマートフォンっぽくなくて操作に少し戸惑いました。私の勘違いだったのですが、KANN ALPHAの仕様上OSがAndroid9.0とあったので、FiiO M11 ProよろしくAndroidのスマートフォン然とした操作のイメージを持っていました。
しかし、実際のKANN ALPHAは、音楽再生専用デバイスに、OpenAppサービスと呼ばれるAndroidアプリをインストールできるような仕組みがある、と捉えるのが正しいようです。
Androidで作った音楽再生専用デバイス≠スマートフォン
KANN ALPHAは、音楽再生専用デバイスであり、その数多の制約の中で許容されたアプリのみを利用することができます。FiiO M11 Proのような、Androidのスマートフォン然の自由さは、KANN ALPHAには存在しません。 純粋に音楽を聴くにはKANN ALPHAの今の仕様で必要十分です。ですが、FiiO M11 Proで便利に使っていた次のようなことができないと、不便に感じることもあるかもしれません。- KANN ALPHAでは、chromeなどブラウザをインストールできない。このため、スターバックスなど、認証にブラウザが必要なWi-Fiに接続することができない
- KANN ALPHAでは、twitterなどSNSのインストールができない。このため、スクリーンショットを撮って、twitterへ投稿する、ということができない。またスクリーンショットの撮り方がわからない。。。
- KANN ALPHAでは、Sony Headphonesアプリがインストールできない。このため、WH-1000XM3の調整などができない
電源ボタン
KANN ALPHAは、利用するときに都度電源をオンにする運用を想定した端末のようです。デフォルトで自動シャットダウンが有効になっていて、一定期間、入力操作がないと自動でシャットダウンします。(設定で期間は変更が可能です)電源を入れる
電源ボタンは、トップの右側にあります。電源ボタンを長押しで電源がオンになります。シャットダウンは、電源ボタンを長押しして呼び出したダイアログにあるOKをタップすることでシャットダウンされます。液晶ディスプレイの表示オンオフ
電源がオンの時、電源ボタンを押下すると液晶ディスプレイが表示されます。また、画面が表示されている時に電源ボタンを押下すると液晶ディスプレイがオフになります。強制シャットダウン
動作が不安定になった時に、電源ボタンを7秒間長押しすると強制的にシャットダウンすることができます。保存しているデータなどには影響がないようですが、再生中に強制シャットダウンはしないほうが良いようです。
KANN ALPHAマニュアル|お客様サポート|Astell&Kern
Astell&Kernの国内向けオフィシャルサイトです。製品情報、サポート情報などを掲載しています。
KANN ALPHAに挿入したmicroSDカードに入れた楽曲を再生してみる
microSDカードを本体に入れてフォーマット
microSDカードは、底面にあるスロットに挿入します。特典のケースをつけるとスロットが隠れてしまうので、SDカードの交換を頻繁に行う運用をする際は、ケースを検討した方がいいかもしれません。 microSDカードのフォーマットは、設定 > システム情報 > SDカード内データを消去
で行えます。
MacとKANN ALPHAをUSBケーブルで繋いで、KANN ALPHAへ楽曲をコピー
- Mac – KANN ALPHA間でデータのやり取りをするためのアプリ「Android File Transfer」をMacにインストールします。こちらから、データ転送用のアプリ「Android File Transfer」をダウンロードできます。
- MacとKANN ALPHAをケーブルでつなぎます。
- 楽曲ファイルを、KANN ALPHAの任意のフォルダにドラッグして格納します。
Windowsと KANN ALPHAをUSBケーブルで繋いで、KANN ALPHAへ楽曲をコピー
KANN ALPHAとPCをケーブルで接続します。気を付けていただいたほうがいいかなと思うのは、PC側はUSB3.0でないとうまく認識しない傾向が、私の場合はありました。 なお、格納された楽曲ファイルは、システムが自動的にスキャンしてくれるので、すぐに再生が可能です。ホーム画面
ホーム画面とは、再生中の楽曲を表示するための画面です。電源を入れて初めに表示される画面でもあります。KANN ALPHAは、ホームがスタート地点です。色々な画面に遷移しても、ホームボタンをタップすれば、ホームに戻ることができます。
メニューと再生中メニュー
ホーム画面で右から左へスワイプするとメニュー画面に遷移します。メニューでは、楽曲を探したり、「設定」を開いたり、「サービス」からOpen Appでインストールしたアプリを起動したりします。ホーム画面で左から右へスワイプすると再生中のプレイリストが表示されます。アルバムを聴いているときは、アルバムの楽曲一覧が表示されます。
再生履歴と通知メニュー
ホーム画面で下から上へスワイプすると再生履歴が表示される画面になります。また、上から下へスワイプすると、ネットワークなどの状態を示す通知メニューが表示され、例えばWi-Fiのオン・オフの切り替えなどができます。
Open APPサービスで、アプリをインストールする
Open APPサービスを利用することで、Astell & Kernが利用を許容しているアプリをKANN ALPHAにインストールすることができます。許容しているアプリなど詳細は公式ページを参照ください。 かいつまんで説明すると、以下の手順でインストールが可能です。
1. APK PureなどでインストールしたいアプリのAPKをダウンロードしておく
2. MacとKANN ALPHAをケーブルでつないで、Android File Transferを使ってKANN ALPHAの内部ストレージのOpenServiceフォルダに、ダウンロードしたAPKファイルをドラッグして格納する
3. KANN ALPHA のホーム>メニュー>サービスで下の写真のような画面が表示されるので、インストールしたいアプリをタップすれば、インストールが開始されます。
注意点として、この画面に表示されるアプリは、拡張子が.apkのものか、すでにインストールしたアプリだけのようです。.xapkのアプリをインストールする場合、事前にインストールしたXAPK Installerを介してxapkアプリをインストールします。XAPK Installerを起動すると、OpenServiceフォルダにある.apkや.xapkが一覧で表示されるので、その中からインストールするものを選択すればよいです。 ちなみに、アプリのアップデートは自動でされないのですが、上述のインストール方法で、上書きインストールをしてくれるようで、TIDALの2.31.0->2.32.1は問題なく上書きインストールされました。 なお、Twitterやmora qualitas、Sony Headphoneなどインストールが許容されていないアプリのインストールを試行したところ、できませんでした。購入前に、普段からお使いのアプリが対応されているか、確認されることをお勧めいたします。
インストールしたアプリを使ってみる
TIDAL
プリインストールされたTIDALはバージョンが古いので、apkpureから最新のxapkをダウンロードして、インストールしました。ログインもでき、問題なく再生できています。また、オフラインにも対応していて、ダウンロードした楽曲ファイルの保存先をアプリで設定することができます。
Apple Music
FiiO M11 シリーズでは利用できなかったApple Musicですが、KANN ALPHAではインストールからログインまで問題なくでき、再生も問題ありません。また、オフラインにも対応していて、ダウンロード先をSDカードか内部かを選択できます。Spotify
Spotifyも問題なくログインから再生まで、利用できました。お試しで入ってみたので、オフラインにも対応していて、ダウンロード先をSDカードか内部ストレージかを選択できます。Amazon Music
Amazon Musicもログイン、再生と問題なく出来ました。ただ、Amazon Music HDは試していません。最高品質で聴くために色々とおまじないが必要そうです。なお、ダウンロード先は、SDカードか内部ストレージかを選択可能です。発熱
再生していると本体が若干暖かくなるものの、熱いと思うことはありませんでした。電源関連
電池のもち
KANN ALPHAのバッテリーは、案外持つ印象です。5,600mAと大きめなバッテリーで、14時間半の連続再生が可能だということです。正確に測ったわけではありませんが、1日3時間から4時間位利用して4日目に充電をしていますので、スペック通りかなという実感です。充電の速さ
5V/2Aの充電器で約5時間、9V/1.67Aの充電器で約3.5時間で満充電となります。ちなみに充電しながら再生すると、5分で1%充電されるくらいの進捗でした。なお、下の写真で左側が5Vでの充電、中央が9Vでの高速充電時の画面です。中央は3本線が若干速そうに見えますが、右側のFiiO M11 Proのようにもう少し高速充電であることを目立たせてもいい気がします。
AK Connect
KANN ALPHAが繋がっているネットワークにNASがあれば、AK Connectを使って、NASにある楽曲を再生したり、ダウンロードすることができます。AK Connectを使って、NASにある楽曲を再生してみる
NASにある楽曲を再生できるのは便利です。ただし、次の通り不安定な面もあります。- アルバムジャケットのイメージが表示されない
- 再生中のアーティスト名が「不明なアーティスト」となっていることがある
- 曲のタイトルがファイル名になっている場合がある
AK Connectを使って、NASにある楽曲をダウンロード
PCに接続しなくてもいいので、楽曲ファイルの少ないやり取りであればこの機能はとても便利です。なお、ダウンロードした楽曲は、NAS越しに再生した時のような表示に関する問題はありませんでした。音の印象
KANN ALPHAは、音の輪郭をはっきりと表現する、そんな印象を持っています。また、音が元気で弾けるような躍動感を覚える点は、もしかしたらFiiO M11 Pro Stainless Steelと傾向が似ているような気もします。切れ味鮮やか like 斬鉄剣
箱から出した直後は、高音域のキレが良すぎて少し違和感を感じていたのですが、50時間くらい鳴らしてからは気持ち良いキレ味になりました。もしかしたら、音が変化したのではなく、私の耳が慣れただけかもしれませんが。これは根拠はないのですが、立ち上がりが早くて、消えるのも早いからエッジが立って、曲によってはうねるようなドライブ感が醸成されるのかな、と思ったりします。
出力の強さ
私の手持ちで一番抵抗の高いCL750(150Ω)で鳴らしてみましたが、しっかり鳴っていて、キラキラが気持ちよかったです。ネットワーク関連
BluetoothでLDACでつなぐ
手持ちのAirPods Pro、WH-1000XM3およびMA750 Wirelessと接続を試しました。一度ペアリングすれば、次に電源を入れると自動的につながります。 屋外での繋がりの強さは未確認ですが、寒くなってきたので、そろそろ耳当てがわりにWH-1000XM3の登場が近いと思われ、改めて評価を書きたいと思います。
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Wi-Fi
正直、あまり感度は高くない印象です。無線LANから2mくらいの場所にいても、KANN ALPHAのWi-FiマークはMAXになった試しがありません。とはいえ、ダウンロードなどは遅いなりに安定してできるので、困ることはないと思います。使ってみて思ったこと
- おまけでついていたケース、しっくりきていいのですが、向かって左側の再生や曲送り、曲戻しボタンが非常に押しづらいです。停止するつもりで曲送りしてしまったりということがほとんどで、逆にノールックで思うように操作できた試しがないです。iPhoneの純正レザーケースはボタンはメタルな部品でカバーされていて、押し間違いなどはないので、設計を検討いただければと思います
- AK Connectアプリのバージョン履歴を見ると、最終更新が1年前のiOS12対応、、、。Astell & Kernとして、AK Connectは今のままで完成しているということなのでしょうかね。例えば、Bluetoothで操作を可能にするなど、継続した開発対応いただけると嬉しいですね
- KANN ALPHAの開発に携わった方のインタビューがYouTubeで公開されています。どのような想いを込めて製品を作ったのか、その一端を知れるので、とても興味深く拝見しました。ステラさん、あなたのデザインは最高ですよ。
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